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【小論】『たまこまーけっと』と『加茂川マコト』との接点を探る

先日12/11の記事「【舞台探訪】『たまこまーけっと』:版権絵探訪+考察 ~出町柳は萌えているか~」の中で私は、『たまこまーけっと』放映開始に至るまでの京都アニメーション(以下、京アニ)サイドの動きを整理した上で、この作品が実は2年以上も前から構想されていたものであり、京都を舞台とした(=京都そのものを描く)作品であることを示唆する状況証拠が幾つか残されていたことについて言及しました。時系列に並べてみると以下のようになります。


2010/09/30 京アニ八田社長、京都を舞台とする作品制作への抱負を語る(CMEX2010)。
2011/11/03 京アニ木上さん、京都舞台のアニメが進行中であると語る(京アニ・スタッフ座談会)。
2012/11/05 山田尚子監督、前日に貴船へ行ってきた旨を記述する(京アニ公式サイトのブログ)。
2012/11/29 『たまこまーけっと』の情報初公開。TVCM、公式サイト、Twitterアカウントが公開される。
2012/12/02 CDリリース情報から主人公の苗字が「北白川」であると判明。
2012/12/06 公式サイト更新。サブキャラの苗字が「常盤」「牧野」であると判明。
2012/12/07 翌日発売の「アニメージュ1月号」の版権絵がネットに流出。背景が出町桝形商店街の外装に酷似していることを発見。
2012/12/08 現地調査の結果、同一のものであると断定。併せて同日発売の「アニメージュ1月号」の山田監督へのインタビューにおいて、京都を舞台とする作品であるとの発言を確認。


京都出町柳が舞台であることが確定的になるまでのこの一連の流れを頭に入れておいた上で、当記事では、これにもうひとつ別の角度からの情報を追記しておきたいと思います。たまこまーけっと』が出町桝形商店街と事前に繋がりがあったことを指し示す傍証となるものです。


出町桝形商店街にはマスコットアイドル加茂川マコトがいるということは前々回の記事の中でもご紹介しましたが、マコト嬢はTwitterアカウントを持っており、ほぼ毎日のようにtweetをしています(Twitterアカウント: @kamogawa_makoto )。

出町桝形商店街のマスコットキャラクター加茂川マコト*1


その加茂川マコトが2012/11/30(金)の未明に『たまこまーけっと』公式アカウントのtweetを公式RTしています。

(左)加茂川マコトのタイムライン。赤線で囲った部分が公式RTの証跡。
(右)公式RTされた元のtweet。わずか2分後にRetweetされている。


加茂川マコトリツイート時刻は11/30(金)0:16。オリジナルのtweetが同日0:14ですから僅か2分後です。11/30(金)と言えば、前日の公式サイトのリリースで『たまこまーけっと』が"おもち"と"商店街"に関わる話であることが判明したレベルです。その時点ではまだ"京都"というキーワードはどこにも出てきていません。それどころか「商店街はどこだ!?」と舞台探訪関係者があれこれ推理を始めた直後のことです。まだ何も分かっていなかった時期と言ってもいいでしょう。にも関わらず、この時点で加茂川マコトのアカウントは番組公式サイトの情報をRTしているのです*2


加茂川マコトのアカウントを調べてみると、『たまこまーけっと』以外のアニメ番組や映画等の公式アカウントのフォローは一切見当たりません。考えてみればこれは当然のことで、加茂川マコトTwitterアカウントは基本的に商店街のキャンペーン・アカウントですから、商店街の営業に無関係なTVアニメの公式アカウントを自発的にフォローしても意味がありません*3。よほど中の人がコアなアニメ好きなら話は別ですが、それはそれで公私混同というものでしょうし、そもそもこのアカウントについてはそのような様子は見られません*4


そのようなアカウントが『たまこまーけっと』だけに見せた関心の高さと素早い動き。『たまこまーけっと』公式のTwitterアカウントが公開されてからそれほど時間を置かずして、それもリフォローではなく自発的にフォローしています。これはどう考えてもイレギュラーな反応です。この点だけを見ても、京都アニメーション加茂川マコトもしくは出町桝形商店街とがかなり前からコンタクトを取り合っており、最初から『たまこまーけっと』の舞台が商店街の「公認」となっていたことを窺い知ることができます。


ちなみに「加茂川マコト」は、京都で活動するイラストレーターやデザイナー、プランナー、エディターなどのクリエイター集団である「ことまきプロジェクト」の手によるものです。同プロジェクトは加茂川マコトのデザイン・作画は元より、


叡山電鉄とのコラボ「えいでんでGo!Go!加茂川マコトちゃんをさがせ!」 (特設ブログ)
リアル加茂川マコト・オーディション (オーディションの様子)
加茂川マコト聖誕祭


などの各種イベントを手掛けており、実質的に出町桝形商店街の企画広報担当という位置づけにあるようです。恐らく、ことまきプロジェクトは商店街からの委託を受けてビジネスとしてこの活動を行っているはずで、京アニ側とは『たまこまーけっと』の舞台が出町桝形商店街に決まりつつあった時点で、商店街側の責任者も含めて今後の展開について何らかのすり合わせの場を持っていたとしても不思議ではありません。


そこで気になるのは、加茂川マコトと『たまこまーけっと』との競合です。同じ商店街に2つのイメージ・キャラクターの共存は難しいでしょう。加茂川マコトが「ひこにゃん」のような擬人化された動物キャラなどであれば問題は起こらないでしょうが、ともに人間のキャラクターである以上、バッティングすることは大いに考えられます。


アニメの放送開始後、商店街には『たまこまーけっと』目当ての舞台探訪・聖地巡礼者が多数訪問することになるでしょう。その結果、これまで加茂川マコトのプロジェクトがビジネスとして手掛けてきた成果をあっさり覆してしまうほどの経済波及効果を商店街にもたらすことになってしまったとしたら・・・?商店が活気づくことは歓迎すべき状況ですが、そこに関係者間での光と影が生まれ、水面下で思わぬ軋轢を生まなければ良いのですが。


マスコット・キャラクターの加茂川マコトは"商店街の住人"という設定なので、『たまこまーけっと』の世界の住人と共存共栄を図るという方向性が(イメージ戦略的にも)ベストの選択なのでしょうが、さてどうなっていくのでしょう。いずれにせよ1月以降の出町桝形商店街、及びことまきプロジェクトの動きに目が離せないのは確かです。


P.S.
一昨日(12/13)、出町桝形商店街さん公式のTwitterアカウントが『たまこまーけっと』の呟きを始めました。先の記事で、商店街の魚のオブジェに対する当方の質問に即答を頂いたのもこちらのアカウント(@kyoto_masugata )。でした。ありがとうございました。

12/13(水)13:00頃のtweetとその後のリプに対するコメント。聖地化への期待と不安が見え隠れしている?


同日17:30頃のtweet。以後も時折『たまこまーけっと』関連の情報を発信されています。


2013年5月追記:
この記事のリリース後、加茂川マコト著作権を管理する「ことまきプロジェクト」が同キャラクターを出町桝形商店街のマスコットキャラクターから京都全体のイメージキャラへと格上げさせようという運営方針の変更に伴い、出町桝形商店街との契約を終了。その後、加茂川マコトは出町から出て行ってしまいました・・・。遠目には『たまこまーけっと』が『加茂川マコト』を商店街から追い出したようにも映ったでしょうが、実態はそうではありません。後に商店街の責任者の方とお話しする機会があり、色々とお聞きしましたが、様々な人の思惑が交じりあって結構面倒くさい事態になっていたようです。


(2012/12/15 記)

*1:その後、加茂川マコトは出町桝形商店街を去ることになります。これについては本文最後で後述します。

*2:アニメ誌のインタビューがオープンになった12/8の時点でも『出町桝形商店街』という具体名までは明らかにされていません。表向きはですが。

*3:商店街アニメの作品世界と主人公に関心を持ったから・・・という解釈もあるかもしれませんが、この時点ではまだあらすじは紹介されていませんし、"商店街"というキーワードにしても公式サイトの著作権者に「うさぎ山商店街」と記載されていたのみです。

*4:かなり初期の時点で『けいおん!』関連の非公式botを2、3フォローしているのが目につく程度です。