【レポート】 第2回京アニ&Doファン感謝イベント:監督対談!&山田尚子監督サイン会

平成27年10月31日(土)と11月1日(日)の両日、京都市勧業館(みやこめっせ)で第2回京アニ&Doファン感謝イベント「私たちは、いま!!」が開催されました。2年ぶりのイベントとなる今年は、京都アニメーションにとって創立30周年という記念すべき年*1でもあります(イベント専用サイトはこちらです)。


(上)みやこめっせの入場口。待機列は物販の並び(10/31(土)9:50頃撮影)
(下)イベントのタペストリー
↓このイラストが表紙となった見開きのチラシです。当日会場内で配付されていました。

(※画像をクリックすれば拡大してご覧になれます。以下の写真も同様。)


みやこめっせに設置された会場は、3Fの広大な第3展示場の東側をステージイベント会場、西側を展示会場、1F東側のエリアを物販会場に割り当てていました。展示会場では、実際に使用されたアニメーションの原画や生原稿を惜しげもなくパネルに貼付した原画展示ゾーン、キャラクター設定や美術設定の詳細を紹介したライブラリーゾーン、アニメーション制作のデスクをそのまま会場に持ち込んだ公開スタジオゾーン、更にはスタッフの私物の紹介コーナーやメッセージボードなどなど、2年前のイベント以上に盛りだくさんの充実した内容で、ゾーンによっては待機列ができるなど両日とも会場は詰め掛けた多くのファンの熱気で溢れていました。


(上)場内マップ
(下)展示会場の入場待機列とフラワースタンド


そんな中でとりわけイベントの目玉となったのはトークステージとサイン会のステージイベントでした。いずれも参加者は入場チケットを事前に購入の上、希望する演目に応募して抽選で決まるというもので、大変幸運なことに私は初日の「京都アニメーション監督対談!」と二日目の「山田尚子監督 サイン会」の参加券を共に引き当てることができましたので、今回はその様子をレポートさせていただきます。


では、まず初日の監督対談の様子をご紹介しましょう。

*1:法人設立は1985年7月12日です。

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【レポート】映画『たまこラブストーリー』第18回文化庁メディア芸術祭新人賞受賞記念:高橋良輔監督×山田尚子監督対談

2015年2月11日(水)建国記念日のこの日、六本木の映画館「シネマート六本木」において「第18回文化庁メディア芸術祭」アニメーション部門で新人賞を受賞された山田尚子監督の映画『たまこラブストーリー』の上映と、受賞を記念しての高橋良輔監督×山田尚子監督とのトークショーが開催されました*1。以下は当日のレポートです。

(上)2014年11月27日に文化庁メディア芸術祭公式アカウントが発信したtweet。



(左)シネマート六本木の外観
(右)いつものように有志一同でお花をお贈りしました

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【参考リンク先】
・第18回文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門新人賞受賞作『たまこラブストーリー』の作品概要と、高橋良輔監督による贈賞理由(第18回文化庁メディア芸術祭
http://j-mediaarts.jp/awards/new_face_award?section_id=3&locale=ja#item2
・『たまこラブストーリー』第18回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞受賞。山田尚子監督への受賞記念インタビュー(アニメ!アニメ!)
http://animeanime.jp/article/2015/01/29/21773.html



今回の山田尚子監督のトーク付き記念上映は、平日の1月20日(火)にひっそりとメディア芸術祭のホームページ上で告知され、しかも申込み先着135名で締め切るというものだったので、うっかりすれば気がつかない内に受付終了していたかもしれないという難易度の高い争奪戦でしたが、心ある方からご連絡をいただき難なく申込み完了できました。この場を借りてあらためて御礼申し上げます。

当日はキャンセル待ち券も出て満員御礼でした。


当日の時間枠は14:30~16:45までの2時間15分。『たまこラブストーリー』の上映時間が84分程度であることから、上映後の若干の休憩とセッティング時間を考慮しても、対談時間は約45分の長きに渡るであろうことが予想されます。映画の舞台挨拶でせいぜい30分程度ですから、最初からトークにやや長めの時間が割り当てられていることが分かります。


定刻通り、14:30から始まった映画『たまこラブストーリー』の上映が終了し、客電が点いて場内が拍手に包まれる中、スタッフが慌しくセッティングを始め、スクリーン前に丸椅子がふたつセットされます。会場となった「シアター4」は本来は149名まで収容できるようですが、最前列のA列は"関係者席"扱いで一般客はB列以降の着席となっています。しかしA列中央付近には最後まで誰も座らなかったので、恐らくトークイベントの安全性を確保するための配慮もあったのでしょう。


トークショーの準備が完了すると、スクリーンに向かって左側の扉が開いて、そこから山田尚子監督高橋良輔監督が入場されます。会場から湧き起こる万雷の拍手。左側の丸椅子に高橋監督、右側の丸椅子に山田監督が着座されます。山田監督は10月に開催された映画のDVD&Blu-ray発売記念の上映イベント時の黒髪とは打って変わってブラウンに染めたセミショート。暖かそうな紺色の毛編みのカーディガンをワンピースの上に羽織っていらっしゃいます。時刻は16:00丁度。いよいよトークイベントの始まりです。

*1:会場のシネマート六本木は2015年6月14日をもって閉館されるそうです。→ http://www.cinemart.co.jp/theater/pdf/20150129_roppongi.pdf

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【レポート】映画『たまこラブストーリー』パッケージ発売記念上映&スタッフ舞台挨拶:山田尚子監督・中村伸一P・瀬波里梨P

2014年10月10日(金)おもちの日。大路もち蔵の誕生日でもあるこの日は、映画『たまこラブストーリー』のDVD&Blu-rayの正式発売日でした。それを記念しての一回限りの上映会&舞台挨拶が、10月4日(土)の新宿ピカデリーに続き、京都アニメーションのお膝元であるMOVIX京都でも開催されました*1。以下は当日のレポートです。


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今回の目玉は何といっても、山田尚子監督が登壇される舞台挨拶です。新宿ピカデリーの舞台挨拶は、北白川たまこ役の洲崎綾さん、大路もち蔵役の田丸篤志さんが共に登壇されてのキャスト色の強いものであったのに対して、MOVIX京都はプロデューサーの瀬波里梨さん、音楽プロデューサーの中村伸一さんをお招きしてのスタッフ・トークであること、また山田尚子監督が事前に京アニのブログ(9/29付)「京都は、スタッフのトークということで、普段できないような大人なお話とかできると楽しそうですね。星とピエロの音楽のお話とか。いろいろ」と書かれていたこともあり、映画制作の秘話やディープな裏話を聞くことが出来るのではないかという期待感の大きなものでした。


そのこともあってか、平日の夕刻という時間帯でありながら、遠方から駆けつけてくる熱心なファンの参加率も高く、恐らく新宿よりも厳選された精鋭たちの集まりになっていたのではないでしょうか。一方で女性客の比率の高さも目を引きました。ぱっと見の印象でも男性:女性比率は6:4くらいだったのではないでしょうか。この作品の女性からの支持率の高さを伺わせます。


MOVIX京都で二番目の収容力を誇る南館4階のシアター10は満席御礼の賑わい*2。ロビーでは本日発売のDVD&Blu-rayに始まり、各種CDの販売ブースが設けられ、公開映画の看板はすべて『たまこラブストーリーに張り替えられています。そしてなんと、映画用に制作されたスタンディがこの日限定で復活してロビーの片隅を飾っています!出町桝形商店街の「鯖」のレプリカがあることから、これは映画公開当初、ひらかたパークの「たまこラブストーリー展」で展示され、その後、MOVIX京都の南館2階の売店コーナーの脇に長らく設置されていたあのスタンディに相違ありません。MOVIX京都の粋な計らいにファンは大喜びで、上映前から写真撮影する人の姿が絶えません。今日のイベントに相応しくフロア丸ごとたまこ一色となっての盛り上がりです。


*1:DVD&Blu-rayのパッケージ商品は、新宿ピカデリーの記念上映会当日限定で先行発売されていました。

*2:キャパは332席で、4階フロアが丸ごとシアター10です。前日まで端の方の席に若干の空きがありましたが、最終的には全席埋まったそうです。

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【レポート】映画『たまこラブストーリー』大ヒット御礼スタッフ舞台挨拶:山田尚子監督・小川太一さん・瀬波里梨P

2014年5月30日(金)新宿ピカデリー(シアター3)で行われた映画『たまこラブストーリー』大ヒット御礼 スタッフ舞台挨拶のレポートです。

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19:50の上映終了後、スクリーン前に椅子が並べられ、松竹映画の司会者の方のアナウンスで右側の扉から入場。登壇されたのはスクリーン正面に向かって左から山田尚子監督、演出の小川太一さん、瀬波里梨プロデューサーのお三方でした。トークは21:20から22:00までの約40分間に及びました。


以下、トーク・イベントにおける私のレポートのお約束事を少し書いておきます。これらは手書きで採録したメモを元に書き起こしていますので、部分的に書き取りが追いついていない箇所があること、実際の言い回しとは異なるものがあることをあらかじめご了承ください。意味を汲み取りにくい発言は私の判断で表現を補足していますし、臨場感を再現するために多少脚色を加えています。ポイントになる語句は過不足なく盛り込んでいるので大意は外していないはずですが、もし重大な認識違いや書き漏らしに気づかれた方がいらっしゃいましたら、ご指摘いただければ幸いです。


なお映画公開前に京都文化博物館で開催されたおさらい上映会でのスタッフ・トークの記事と併せてお読みいただくとなお面白いかと思います。前回のトークも今回と同じメンバー(+色彩設計の竹田明代さんの4名)でしたが、映画の公開前ということもあってネタバレに注意しつつのトークであったこと、また司会進行役だった瀬波Pご自身の発言がなかなか伺えなかったということもあって、今回のトークは前回のそれとは多くの面で対照的なものでした。ぶっちゃけトークや衝撃(笑撃?)の裏話が飛び出したりの非常に興味深い40分でした。
「たまこまーけっと」おさらい上映会&制作スタッフ・トークイベント(山田尚子監督・小川太一さん・竹田明代さん)レポート


―― では早速、登壇者の皆さまから一言づつお願いします。


瀬波 みなさんこんにちは。プロデュース担当をいたしました瀬波です。本日はよろしくお願いします。
小川 演出を担当させていただきました小川太一です。
山田 なんかね、ちょっとマイクのコードが引っかかって・・・(司会者を見て)ガッツリ踏んでるんですけど(笑)。あ、えー、『たまこラブストーリー』の監督を務めさせていただきました山田尚子です。

ここで司会者の男性がこれみよがしに上着のジャケットを脱ぐと、そこにはたまことデラの描かれた水色のTシャツが。これは京都アニメーションの正式なライセンス許諾の下、出町桝形商店街の岸本屋さんでのみ販売されている「特製たまこTシャツ」です。まさかの演出にテンションが上がって急にはしゃぎだす山田監督。

山田 あー!それ!たまこのTシャツじゃないですかー!モデルになった桝形商店街で売ってるんですよ!(客席に向かって)ご存知ですか?

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【舞台探訪】『たまこラブストーリー』:たまこが駆け抜けた京都駅ビル構内のルート図解

4/26(土)から劇場公開された映画『たまこラブストーリー』。この映画をご覧になった何人かの方から、クライマックス・シーンでJR京都駅ビルに到着したたまこが新幹線の11番線ホームへ駆け上がるまでのルートがよく分からないという話をTwitter等で頻繁に見かけましたので、急遽、たまこの駆け抜けた足取りを図解する資料を用意してみました。

※以下、クライマックスのネタばれを含みます。未見の方はご注意下さい。


たまこが到着したJR京都駅ビルの中央改札口(駅北側の烏丸口京都タワーのある方)から新幹線乗り場へ行くには、一旦階上の南北自由通路を経て、近鉄乗り場正面の新幹線中央改札口まで回り込まなければなりません。これは京都駅の構造を理解していない人にはいささか分かりにくく、まさにたまこが嘆息したように「どこに行ったか分からないよ」という状態になります*1。そのような方にとっては、恐らくたまこの走る場面の描写は不可解に映るでしょう。何故もち蔵は中央改札口を尻目にエスカレーターを昇っていったのか?何故たまこは階段を駆け下り、再び階段を駆け上っていったのか?


それらの疑問は以下の図ですべて氷解するはずです。PDFファイルでもご確認いただけます。
京都駅構内図.pdf 直

*1:そういう意味で京都駅の新幹線乗り場は、駅南側の八条口から上がった方が分かりやすいです。

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