【舞台探訪】『聲の形』(原作):第4巻

【注意!】当記事では原作の内容の詳細について触れることになります。原作未読の方でネタばれを避けたい方はここから先へは進まないでください。

大今良時さんの漫画『聲の形』の舞台探訪の記事、今回は第4巻の紹介です。 

聲の形(4) (講談社コミックス)

聲の形(4) (講談社コミックス)

 

→前回までの記事はこちらです。
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第1巻
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第2巻
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第3巻
→本稿以降の記事はこちらです。
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第5巻
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第6巻
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第7巻

■第4巻について
硝子を軸として次第に広がってゆく将也の人間関係の輪。それは、周囲を拒絶し"友達"を作ることに疑心暗鬼になっていた彼の意識に大きな変化をもたらしました。「友達を作ることは難しいことじゃない」。しかし、それは同時に「他人を知る」ことと「知った気になる」ことの狭間に横たわる深淵に直面することでもありました・・・。第4巻では植野、硝子の母、結絃のそれぞれの知られざる想いが語られます。

 

■舞台探訪 『聲の形』(原作):第4巻
※各シーンの場所情報はGoogle Mapにまとめてあります。各々の場所を確認されたい方は、当記事末尾に掲載しているMAPを拡大してご覧下さい。

表紙絵
ナガシマ スパーランド(観覧車) MAP 37

『聲の形』第4巻の表紙絵は、前半の主要な舞台となるレジャーランド「ナガシマスパーランド」(三重県桑名市)の観覧車前です。f:id:los_endos:20160814151019j:plain
細部が微妙に異なるのはこの作品の特徴なのでそれは良いとして、望遠気味に見えるこのカットを左右を入れてできるだけ忠実に再現しようと後ろに下がると、たちまち下の写真のように樹木に視界を阻まれます。なかなか手ごわい。
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表紙絵(裏)
ナガシマ スパーランド(キッズタウン) MAP 38
裏表紙のカットはキッズタウンの遊具(左からカイトフライヤー、中央奥にマジックバイク、右にダックス)です。狭く密集したように描かれていますが、実際には写真の通り、広々とした空間なので絵のような窮屈な印象はありません(※写真は右端を合成しています)。なお背後の建物は、それらしいものはあるにはあるのですが確証がないため掲載は控えます。f:id:los_endos:20160814152338j:plain
それぞれの遊具を拡大してみます。中央奥のマジックバイクのみ上掲の写真では止まっているので、別の写真から流用します。f:id:los_endos:20160814154702j:plain
場内MAPで位置関係を確認してみましょう。以下の緑色の丸印の番号、④カイトフライヤー ⑤マジックバイク ⑨ダックスです。撮影のアングルは赤の矢印方向。f:id:los_endos:20160814155404j:plain

 

P.21 3コマ目
JR大垣駅南口 MAP 39
JR大垣駅南口から西側にある養老鉄道大垣駅の改札方面を向いたアングルです。将也は自宅から養老鉄道に乗って大垣駅まで来ています。学校の自転車置き場が使えないので徒歩で来たわけですね*1
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P.23 3コマ目

JR大垣駅南口 MAP 39
前のカットと同じくJR大垣駅南口から今度は反対の東側を向いたアングルです。ただしかなりズームで引っ張った写真を参考に描かれているようで、写真の撮影位置は南口からかなり西に寄った地点です。
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P.24 5コマ目
JR大垣駅南口 MAP 39
今度は南口から南東向きのアングル。左端に「魚民」の民の字が描かれています。今気づいたのですが硝子の背後の丸い柱は、タクシーのりばの柱のようです。f:id:los_endos:20160814171423j:plain


P.25 7コマ目
JR大垣駅南口 MAP 39
南口の階段です。この階段の上にJR大垣駅のきっぷ売り場と改札口があり、駅の北側に抜ける南北自由通路があります。f:id:los_endos:20160814174218j:plain


P.27 2コマ目
JR大垣駅大時計 MAP 40
駅南のロータリー内にある大時計。時刻も合わせて撮ってみました。原作ではローマ数字表記となっていますが、実際の時計は数字表記(3,6,9,12のみ)という違いがあります。針の形状も異なります。
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全景はこのような形です。f:id:los_endos:20160814175521j:plain


P.28 2コマ目

JR大垣駅自動きっぷ売り場 MAP 19
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P.28 3コマ目

JR大垣駅自動きっぷ売り場 MAP 19
JR東海のICカード「TOICA(トイカ)」の文字もしっかり描かれています(先頭の「t」が切れているのは元のコマからです)。f:id:los_endos:20160814194440j:plain
将也たち8人はJRに乗ってナガシマスパーランドへ向かいます。恐らく名古屋から高速バスか、桑名まで乗り継いで路線バスを使ったのでしょう。せっかく養老鉄道が大垣→桑名まで伸びているのに、なんでJRでわざわざ遠回りするのだろうと思ったのですが、JR大垣→名古屋、近鉄名古屋→桑名経由の方が早く着くんですね・・・。


P.32 5コマ目
ナガシマスパーランド MAP 37
謎のアングルです。これと同じ角度で写真を撮るためには、木曽川を渡った対岸から望遠で撮るか、(可能か否かは知りませんが)木曽川に浮かべた船上から撮るしかありません。しかもこの写真はやや上空の高いアングルから撮られているので、空撮の可能性もあります。たった1コマのロケハンのために、わざわざそのような面倒なことをしたとは思えず、何かの写真を参考にしたという確率が高いような気がします。ちなみに以下の写真は伊勢湾岸自動車道からナガシマスパーランドにレンタカーで乗り込む際、同乗者が撮影したものです。当然、アングルは異なりますが雰囲気くらいは掴めるかと。あくまで参考程度に。f:id:los_endos:20160814205142j:plain


P.32 6コマ目
ナガシマスパーランド MAP 37
全長1,715m、高さ45.5mの規模を誇る世界最大級の木製のジェットコースター「ホワイトサイクロン」です。
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全部、木で出来ているとはまったく驚きです(高所恐怖症につき乗りませんでした)。f:id:los_endos:20160814211630p:plain


P.38-39 1コマ目
ナガシマスパーランド MAP 41
見開きページにつきキャプチャの歪みが生じていますがご容赦ください。中央のアトラクションは「スターフライヤー」。手前のジェットコースターは「コークスクリュー」です。撮影場所はMAP 41でご確認ください。やや分かりにくい場所なので、場内MAPで補足しておきます。f:id:los_endos:20160814213723j:plain
以下のMAPの赤丸印から矢印の方向です。f:id:los_endos:20160814215656j:plain


P.46 1コマ目
ナガシマスパーランド MAP 42
大観覧車の斜め前にある「スペーススナック」です。f:id:los_endos:20160814223341j:plain
場内MAPで確認しておきます。「スペーススナック」はオレンジ色のカップの「K」の場所です。f:id:los_endos:20160815095933j:plain
ちなみに値段表を見比べてみるとなかなか面白いことに気づきます(写真は2016年1月撮影)。
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焼きそば500円、フランクフルト300円、各種ジュース類200円とぴったり値段が一致している中で、生ビールのみ550円ではなく実際には600円でした。連載当時から2年の間に値上がりしたのでしょうか?なお、ホットコーヒーと焼きそばのパネルの絵は店舗の写真をそのまま描き写しているようです。


P.48 1コマ目
ナガシマスパーランド MAP 43
この場所は先の場内MAPのオレンジ色のカップ「L」の場所、ハンバーガーショップ前のテラスです。じっくり見比べてみると椅子の背もたれ部分の形状が若干違うのですが、園内の休憩所でこのタイプの椅子+クッションを置いている唯一の場所だったので、本稿ではここをMAPに掲載します。
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P.51 1コマ目
ナガシマスパーランド MAP 44
将也と植野が会話する場所は先ほどのテラスのすぐそばのように描かれていますが、実際にはかなり離れたところにあります。f:id:los_endos:20160815101653j:plain
ここは「ティーカップ」の前。下のMAPの緑色の丸印の番号「24」です。テラスのある「L」との距離がお分かりいただけると思います。f:id:los_endos:20160815100055j:plain
またここは将也と植野が腰掛けているようなベンチではありません(ただの植え込みです)。他にこれと同じ形状のベンチがあるのかもしれませんが不明です。f:id:los_endos:20160815102031j:plain


P.52 1コマ目
ナガシマスパーランド MAP 44
先ほどのカットを背中越しに。場所はやはりここで合っています。f:id:los_endos:20160815102731j:plain


P.60-63 
ナガシマスパーランド MAP 45
いずれも大観覧車です。ここは特にコメントなしで。f:id:los_endos:20160815112420j:plainf:id:los_endos:20160815111436j:plainf:id:los_endos:20160815111448j:plainf:id:los_endos:20160815113638j:plainf:id:los_endos:20160815114856j:plain


P.68 2コマ目 
ナガシマスパーランド MAP 46
「スペースシャトル」前の西側にある「休憩所・のりもの券売機」の付近。場内MAPでは青色の丸印⑨の右側です。f:id:los_endos:20160815123833j:plain


■将也と硝子の手話
P.70の4コマ目。
台詞で喋っているので解説不要と思いましたが、静止した漫画のコマでは実際の動きがイメージしづらいので説明します。
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「(両手の指を軽く開き、胸の前で上下にしゃかしゃかと互い違いに動かす)楽しい」
→(意訳)「楽しかった?」


P.75 1-2コマ目
ナガシマスパーランド MAP 45
大観覧車の中です。高所恐怖症を押して乗ってきました。f:id:los_endos:20160815131330j:plain

P.84 4コマ目
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段々高くなっていく(笑)。てっぺんまで昇り詰めると、木製のジェットコースターをも眼下に臨み、伊勢湾を遥か遠くまで見渡すことができます。ガタガタ揺れて結構怖いです。f:id:los_endos:20160815132814p:plain


■下降と落下/"水"の両義性
第2巻の記事の中で私は「水の中へ投げ込む・飛び込む・落下する・沈む(と、それに対する浮かぶ)」という垂直方向のモーションは、『聲の形』全編を貫く重要な視覚の運動性のひとつと言えます」と書きました。同作においてそれはもっぱら"水"と関連づけられた「下降や落下」の運動性と言い換えてもよく、それらは筆談ノートの放擲、将也の停学処分、或いは第6巻の転落など、いずれも登場人物にネガティブな事象をもたらすものとして描かれています。小学生時代の度胸試しの場面にしても、島田や広瀬からは早々と「ガキっぽい遊び」と否定され、子供じみた蛮勇というネガティブな烙印を押されています。いずれもそれらの背景に"水"があります*2

本来、生命の源たる"水"は、誕生・再生・浄化・禊・流動・循環など生の象徴性を担うと同時に、一方で洪水・津波・沈没・破壊・死といった破滅的性質をも意味する両義性を孕んだエレメントです。

『聲の形』において、「下降や落下」という垂直方向への動きと"水"が連結するとき、それは登場人物に安寧を与える悦ばしい属性ではなく、むしろ生命と精神を危険に晒す不吉な属性を露わにする傾向が強いように感じられます*3

「下降や落下」に支配された"水"。そのネガティブな運動性に抗うためには"水"から浮上するしかありません。下降する運動性に抗うことができるものだけが、彼らに救済をもたらします。将也が掬いだした硝子の筆談ノートのように、あるいは、水を越えるための「橋」が仲間との絆をつなぐ場となるように。

■録画される事件/不在の撮影者
『聲の形』で「下降や落下」のモーションは、"水"と深い繋がりをもって描かれていると上述しましたが、そうではない場合もあります。それが「ジェットコースター」「観覧車」「花火」などです。ジェットコースターや観覧車は上昇し、頂点に上り詰めると下降してきます。花火は大空に打ち上げられ、天空で花ひらいて火の粉となって落下します。いずれも上昇した後に「落ちる」運動性です。そのときジェットコースターに乗り込んだ佐原みよこはどういった心境だったか?観覧車の中で何があったか?花火の最中に何が起こったか?

「下降や落下」のモーションは、いずれも登場人物のエモーションが大きく振りきれる時の舞台装置として機能しているように私には思えます。更に「観覧車」と「花火」という二つの出来事は、ともにその場で起こっていたことを結絃のカメラがつぶさに録画していたこと、そのどちらもカメラを持った者が意識していない間に撮影されていた映像だったというのは興味深い共通項と言えます。


P.103 1コマ目
高屋町交差店東 MAP 46
西宮姉妹がマンションに帰宅する直前に描かれるカット。この場所はJR大垣駅にほど近い場所です。第2巻P.122の夜道をぶらつく結絃の姿もこの高屋町交差点を西へ行った辺りだったことを考えれば、西宮家のあるマンションはJR大垣駅の周辺という設定なのかもしれません。f:id:los_endos:20160815182237j:plain

 

■硝子の手話
P.105の6コマ目。
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「(右手の指をすべて折って手のひらを相手に見せる)指文字の"え"」 なので、ここの意訳は、
→(意訳)「え~?」

■硝子・祖母・結絃の手話
P.107の1-3コマ目。
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1コマ目 祖母「(指を立てて口の周りをかき回す仕草)辛い」「(頬を軽く2回叩く)美味しい」
→(意訳)祖母「辛いけど美味しいな?」
2コマ目 硝子「(人差し指を立てて横に動かす)何?」 結絃「(料理を指差して、口の周りをかき回す仕草)これが辛いって」
→(意訳)硝子「なに?」 結絃「これ、辛いんだってさ」
3コマ目 硝子「(※この仕草がわかりません)」 祖母「(硝子の母を指差し)あの娘」「(自分を指差し)わたし」「(※この仕草がわかりません)」 結絃「(母を指差し)あの人」「(多分ブーイングのポーズ)最低」
→(意訳)硝子「(不明)」 祖母「あの娘、私を(不明)」 結絃「あいつ最低」
私の手話の理解が足りなくて申し訳ないです。恐らく3コマ目の祖母の手話は「あの娘、私の味付けが気にいらないみたい」といった意味だと思うのですが、詳しい方がおられたらぜひご教授ください。なお、このシーンを見ていると、硝子の母は手話を知らない(もしくは、あえて覚えようとしない)印象を受けます。


P.124 2-3コマ目
ウォーターガーデン MAP 05f:id:los_endos:20160815203444j:plainf:id:los_endos:20160815203456j:plain
人工の瀧の向こうに見える風景は以下のようなものです。形あるものはほとんど何も見えません。結絃は自分の心の中を見ていたのでしょう。f:id:los_endos:20160815203700j:plain


P.131 2
コマ目
アクアウォーク(北側) MAP 48
JR大垣駅北側の複合商業施設アクアウォークを北公園東の交差点から見たアングルです。f:id:los_endos:20160815212251j:plain


P.131-140 
アクアウォーク店内 MAP 49
様子のおかしい結絃をアクアウォークまで連れてきた将也。二人が食事をしているのは2階のフードコートで、ハンバーガーやポテトは「ファーストキッチン」でオーダーしたもの。更には二人の座っていたシートも特定・・・というところまで分かっているのですが、ここでは写真を掲載しません。

この手のショッピングモールは構内の撮影禁止がほとんどで、アクアウォークはイオンモールのように入口に「撮影禁止」の告知こそないものの、念のためインフォメーション・カウンターで問い合わせてみたところ、やはり事前の申請と承認が必要とのことでしたので、撮影はしませんでした。ただ上述したとおり、比較的忠実に描かれていますので、二人の辿った足取りを追うことは可能です。

P.142 
南北自由通路 MAP 23
アクアウォークの2階からJR大垣駅の改札口までつながる南北自由通路。奥に見えるのがJR大垣駅です。
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実はここで奇妙なカットがあります。フードコートを立ち去る結絃がエスカレーターで1階に降りる描写です(P.141)。南北自由通路はアクアウォークの2階と直結しているので、この行動は無意味です。途中どこかに立ち寄ってまた2階に戻ったのか、単なる作画上のミスなのか、それとも別の意図があるのかは分かりかねます・・・*4
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(上)『聲の形』第4巻P.141より。2階のフードコートからエスカレーターを降りる結絃。駅へ向かう南北自由通路は2階からしか行けないはずなのだが・・・。

 

■祖母の名前
P.143で祖母の名前が「西宮いと」であると分かります。硝子の母は名前を与えられていませんが、このお祖母さんにはちゃんと名前がありました。硝子と将也の母が揃って名前が与えられていないことについては、第1巻の記事で言及しています。

■セーラー服と置き手紙
P.152で結絃のセーラー服の中に「手紙」が忍ばせてあったのは、結絃が次にセーラー服(制服)を着るタイミングが自分の葬儀のときだと分かっていたからでしょう。 結絃が学校へ行くようになるのはまだまだ先のことであり、それよりも先に自分の死期が訪れることをすでに悟っていたからに違いありません・・・。

■結絃が髪を切った時期
P.158-161の結絃の回想シーンは、第2巻の記事で解説したように、第1巻P.59-66のHAIR MAKE ISHIDAで硝子が髪を切った直後の出来事です。この時、硝子はまだ小学5年生で、将也のいる水門小学校に転校してくるより前です。

■硝子とおもちゃの車
P.166に描かれる幼児期の硝子の右側におもちゃの車があります。f:id:los_endos:20160815225140p:plain
これは後に第5巻P.184の運命の瞬間に踏み台になる車です。それほど長い間、この家にあったということは彼女にとってよほど愛着のある玩具だったのかもしれません。しかし第6巻P.56で硝子はそれを決然と捨て去ります。


■硝子の母が読むもの
P.175で硝子の母が読んでいるのは、葬儀場で将也に手渡された実母から孫の結絃に宛てた手紙です。


P.179 5コマ目
四季の広場(東屋) MAP 50
第1巻の別のカットでは東向きのアングルで左手にちょっこっと写りこんでいたのですが、今回のこのカットでようやく真正面から描かれました。f:id:los_endos:20160815231318j:plain


P.180 1コマ目
美登鯉橋 MAP 3
舞台は再び美登鯉橋へと戻ってきました。意外と真正面から全景で捉えた描写は少ないので、ここであらためて写真を紹介しておきます。f:id:los_endos:20160815232738j:plain

第32話のサブタイトル「ガムシロ」とは、第30話で結絃が自分と祖母を譬える時に使ったアイスコーヒーのガムシロップのことです。「代わりに俺がいるだろ・・・これは佐原、これが永束、必要ならもっと連れてくるよ」とガムシロを増やして結絃を励ました将也の言葉通り、橋には佐原と永束が駆けつけていたのでした。

P.184 1コマ目
養老鉄道踏切付近 MAP 51
劇中に登場する西宮姉妹のもっとも古い記憶。f:id:los_endos:20160816000642j:plain
第2巻の■"デラックス"の解説文でも触れた通り、硝子が川で補聴器を探しているときに結絃が来ていた服は、この当時着ていた硝子のおさがりです。f:id:los_endos:20160815234556j:plain
(上)西宮姉妹の一番古い記憶。このとき、硝子が着ている服は・・・(『聲の形』第4巻P.185)。
(下)後におさがりとなって結絃が着ることになる(『聲の形』第2巻P.119)。

 

第5巻の記事へ続きます。 

当記事に掲載した『聲の形』、および映画『聲の形』の画像および台詞は、著作権法第32条に定める研究その他の目的として行われる引用であり、著作権は全て、大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会に帰属します。

 

(2016/8/30 記)

 

 

*1:これは石田邸が養老鉄道の沿線にあることを物語っています。詳細を書くのは控えますが、将也の家のモデルとなった理容店のある場所は沿線とは言えないまでも、彼が鉄道に乗ってきた理由の説明になっています。

*2:ネガティブな事象を引き起こさない唯一の例外は、美登鯉橋からコイにエサを与えるシーンですが、これは登場人物(彼/彼女)の身体が直接水に触れるものではないので、分けて考えるべきでしょう。

*3:水面がコンクリートの固さになるように。

*4:先ほどの「下降と落下」に照らし合わせると、意気消沈している結絃の心理状態を描写するために、ここで下降するモーションを描いたという深読みも可能ですが、そこまでの過剰な解釈は控えます。