【舞台探訪】『映画けいおん!』:■SEQ09 ラストシーン

■SEQ09 ラストシーン
01 夕暮れの北山通~松ヶ崎橋(4人)
(※これは動画です)


【解説】
卒業生4人の足元の表情を長回しで撮影した印象深いラストシーン。『けいおん!』に顕著な女性の足へと向けられる偏愛に満ちた視線は、山田尚子監督独特の表現と言っても過言ではありませんが、この映画のラストでは1期や2期のOPに見られるせわしなくドタバタと走り回る足*1とは対照的に、ゆっくりとしっかりとそれでいて軽やかな足取りで未来へ歩み寄っていこうとする意思が感じられます。

『けいおん!』1期OPより。足元の描写へのこだわりはこの作品の特徴。


映画のパンフレットを読むと、この場面の制作に当たっては山田監督と作画監督の堀口さんが実際に現地を歩いて足の演技指導をしたらしく、それを撮影したビデオを元に描き起こされているそうです。そのため、ここに登場する背景は全て現実の風景と合致します。例えば、横断歩道の白線は全部で12本描かれていますが、これは実際の横断歩道の白線の数と一致しますし、居酒屋の空調の排気口や、側溝を塞ぐ鉄板の少しめくれた加減まで忠実に描かれています。


しかし、これを細切れの写真で紹介してもあまり面白くありません。「長回し」の場面にはリアルな時間の流れの中で生起した様々な気配を丸ごとパッケージングした独特の空気感があります。写真でその瞬間瞬間を切り取っても、なにか本質的なものが零れ落ちてしまうような気がします。という訳でこの場面のみ、私が現地を歩いて撮影した動画をアップすることにしました。ガタガタ揺れる汚い画面で恐縮ですが、京都まで簡単に来られない方にはこちらの方が現地のイメージを掴んで頂きやすいのではないかと思います。


これに加えて、同じ場所で撮影した別の動画も2種類追加しておきます。


1.映画のラストシーンは横向きのカメラワークですが、あの時、4人の目に見えていた風景はどんなものだったのかを追体験してみました。ただし唯とムギはくるくる動き回っているので却下。まっすぐ前を見ていたはずの澪の視点のイメージです。その分、少し涙目気味かもしれませんが。

2.松ヶ崎橋の上まで来たところで、360度ぐるりと周囲の風景を眺めて見ました。映画の中でとりわけ重要な舞台となった「松ヶ崎橋」はこんなところです。


02 夕暮れの松ヶ崎橋(高野川上流から南向き)(4人+梓と和)
唯「とおっ!」


【解説】
『映画 けいおん!』を締め括る本編最後のシーン。
これも映画では高野川の中央からのアングルでしたが、現実には撮影不可能です。また松ヶ崎橋は2車線×対面通行の計4車線に加え、南北それぞれに歩道のある幅の広い橋なので、このシーンは一見すると車道の存在しないまるで違う橋のように見えます。でもまあ、そこは演出上の意図ということで・・・。


『映画 けいおん!』の舞台探訪記事(京都篇)は以上です。


次へ進む→終わりに寄せて。
前へ戻る→■SEQ08 「天使にふれたよ!」

*1:映画でもさわ子先生から教室ライブの非公認許可を取りつけた4人が梓の元へ懸命に走っていくシーンが印象的でした。