【レポート】京都アニメーション・スタッフによる座談会:2011/11/03(前段)

以下は座談会に入る前の前説というか前段です。ここをすっ飛ばして早く座談会のレポートを読みたい人はこちらをクリックしてください
→座談会:その1


現在、京都では「文化庁メディア芸術祭京都展 ~パラレルワールド京都~」と題するイベントが開催されています。
文化庁メディア芸術祭京都展 ~パラレルワールド京都~(公式サイト)
期間:2011.10.29(土)~11.23(水)


開催場所は「京都芸術センター」「京都文化博物館」「京都国際マンガミュージアム」「京都国立近代美術館」等に加え、数ヶ所のアートギャラリーを含めた市内各所でまさに"パラレル"に展開されていて、中でも京都文化博物館では、


1)ファンタジーのパラレルワールド
2)京都のクリエイター集団が描くパラレワールド
3)京都・映像表現のパラレルワールド


という3つのセクションでアニメーションの作品上映や関係者によるトーク・セッションが行われています。文化の日(11/3)に、2)の企画の一環として京都アニメーションのスタッフによる座談会」が行われると聞き、早速行って参りました(事前申込みによる抽選でした)。
今回はそのレポートです。

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【レポート】京都アニメーション・スタッフによる座談会:2011/11/03(その1)

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【プロローグ】
16:30になって京都文化博物館の主催者の方*1の開会の挨拶がありました。
実はこれも興味深いお話だったので抄録致します。


・京都でメディア芸術祭をやる上で、京アニは絶対にはずせなかった。
・実は8年前、京都文化博物館で60日間のイベントを開催した時、京アニから毎日スタッフを派遣して下さって、しかもその期間はこちらに出張スタジオまで設けていた。
・その頃の京アニは、TVアニメの『犬夜叉』『ジャングルはいつもハレのちグゥ』の制作協力を手掛けていた頃で、『ムント』はまだ制作中だった。当時はまさかここまで立派になられるとは想像もしていなかった。
・スタジオを見学させて頂いた時に印象に残ったのは、iMacで1枚1枚撮影されていたことで、技術的にはもっと進化した機材があったはずなのに、「iMacでもここまで出来るんですよ!」と若い人が目をキラキラさせて説明してくれたこと。これはいずれ凄い作品を作り出す会社になるのではないかと思った。


ここで本日の司会進行役として京アニのセナミさんという若い女性が紹介されました。後で分かったのですが、『けいおん!』『けいおん!!』のEDでは設定マネージャー、『日常』のEDではアシスタントプロデューサーとしてクレジットされている「瀬波里梨」さんでした。


瀬波さんのアナウンスで、今日の主役お三方の登壇です。
ステージに向かって右から武本さん、木上さん、石立さん、司会進行の瀬波さんの順に座ります。

座談会中の写真撮影は控えました。


今さらの感はありますが、ここで御三方のプロフィールを紹介しておきましょう。


武本康弘 「涼宮ハルヒの消失」監督
木上益治 「天上人とアクト人最後の戦い」監督
石立太一 「けいおん!「日常」演出


入場券の申し込みをする際、質問したいことを1つ書いてほしいという指示がありました。今回のトーク・セッションは専らその質問に答えるといった形式で進められました*2。以下の発言は、録音物からの書き起こしではなく、現地で書き採ったメモを元に再構成したものなので、実際の言い回しとは異なるものがあります。また全体の流れを分かりやすくするために、何度か繰り返された同一趣旨の発言は一ヶ所に集約しているものもあります。いずれも発言のニュアンスを損なわないように配慮したつもりですが、その点はあらかじめご留意下さい。


なお既にTogetterやブログ等で何名かの方がレポートをアップされています。
代表的なものを以下に上げておきますので、見比べて頂いて私の記述内容に不十分な部分があれば、そちらで補完して頂ければよろしいかと思います。
「京都アニメーション・スタッフ座談会−アニメーション制作の現場から−」行ってきた。


では始まりです!

*1:後に森脇清隆さんだと分かりました。

*2:ちなみに私が書いた質問は「ロケハンの際の苦労話や印象的なエピソードがあればお話し下さい」というものでした。

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【レポート】京都アニメーション・スタッフによる座談会:2011/11/03(その2)

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司会:
石立さんは最近では『日常』で作画だけでなく監督*1も手掛けられました。作品作りにおいて大切にしていることは何ですか?


石立:
どうすればこの作品が面白くなるか?ということと、作品やキャラへの愛です。自分の所属している第2スタジオの入口には「愛」の文字が貼ってあります(笑)。作り手のエゴは入れたくないんです。その作品の物語や世界観をどうすることが一番良いのか、そのためのアイデアを捻り出すために四苦八苦しています。


武本:
『日常』はその辺のライブ感あったよね(笑)。


石立:
最初と最後で全然違いますもんね(爆笑)。「日常」は構成会議*2が二転三転、いや四転から六転くらいしました。あんな長いの今まで体験したことがない。シナリオに取り掛かってから構成をやり直したことさえありました。石原監督を初めてカッコいいと思いました(爆笑)。


武本:
あの人は、話をする時に人を指差す失礼な人だ(笑)。


石立:
いや、あれは個性でしょう(笑)。


武本:
でもリアルで指差さす人に会ったのは初めてだった(笑)。


司会:
けいおん!』について教えて下さい。どういったところに魅力を感じられますか?

*1:クレジット上は「副監督」

*2:放映話のおおまかな流れを決めるための会議。普通は1~2回程度とのこと

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