【舞台探訪】『Steins;Gate』(ゲーム版):前編

Steins;Gateシュタインズ・ゲート)』【ゲーム版】の舞台探訪の記事(前編)です。

STEINS;GATE

STEINS;GATE

本稿はあくまでゲーム版のSteins;Gate(以下、シュタゲ)の探訪記事であり、2011年4月より放映中のアニメ版の背景とは切り離して対応します。


アニメの方はゲーム版に登場しない背景が多数出てきますが、実はゲーム版オリジナルでアニメには出てこない背景というのも幾つかあります(アニメと別アングルを含む)。当記事はその辺りを中心に比較検証してみました。ゲーム未体験でアニメのみ視聴されている方にも、興味深くご覧頂ければ幸いです。


またアニメ版は9月末の最終回へ向けて佳境を迎えているところですが、ゲーム版の背景を紹介するに当たって重大なネタばれを含んでしまう可能性があります。この物語は後半のツイストの効いたどんでん返しの連続を体験することに醍醐味があるので、ゲーム未経験の方を考慮して物語の核心に触れるような背景については掲載しないようにいたします。


取材は2011/06/25(土)の早朝、夜行バスで東京入りし、すぐに秋葉原へ移動して撮影を始めました。土曜日の朝7:00台の秋葉原は行き交う人の数も少なく、通りを走る車もそれほど多くありませんので、写真撮影にはうってつけの時間帯でした。オカリンが携帯電話をかけた途端、秋葉原中央通りから人が消え去ったあの瞬間を再現できるのはこのタイミングだけだからです。

当記事に掲載した『Steins;Gate』の画像は、著作権法32条に定める比較研究を目的としての引用であり、当該画像の著作権は全て、5bp.Inc/Nitroplusに帰属します。



探訪記事に入る前に、ゲーム版をプレイした感想を少し書きます(ネタバレはしません)。
様々な分岐ルートで各々のエンディングが用意されていますが、この作品はTrue Endで終わらなければその真価は絶対に分かりません。

“最初のお前を騙せ、世界を騙せ”

これはゲーム版のキャッチコピーです。この言葉の意味はTrue Endの最後の最後に分かります。そしてその瞬間、誰もが「やられた!」と叫ぶことでしょう。

ゲームを殆どやらないし、やり方にも慣れていない私でしたが、最終局面ではほぼ10時間ぶっ続けで息もつけないほど興奮しながらエンディングを迎えました*1。物語冒頭から張り巡らされていた伏線が見事に回収され、ジグソーパズルの欠けていた最後のピースがピタリとハマる瞬間の快感と言ったら…。それはまさに良質のミステリを読んだ時の謎解きの興奮と同質のものです。評価の高いゲームだとは聞いていましたが、聞きしに勝る出来栄え。時間があれば、割愛したその他のルートのエンディングも全て見ておきたいと思っています。


ゲーム未経験の方は、可能であればアニメ終了前にプレイしておいてほしいと思う反面、一切の先入観なしでアニメ版で衝撃を味わうのもまた良しと思います。アニメ版は、ゲーム版(原作)の衝撃力を損なうことなく無事に最終回を迎えてほしいと願うばかりです。


ではシュタインズ・ゲート(ゲーム版)の舞台探訪記事です。
なおアニメ版の舞台探訪を実施する予定は今のところありません。


■探訪写真
MAP


より大きな地図で シュタインズ・ゲート を表示

地図は縮小表示していますので、必要に応じて上記の”より大きな地図で~”の後のリンク先をクリックして拡大して下さい。ブラウザがIEなら、アンカー上でマウスを右クリックして<新しいウィンドウで開く>を選択頂ければ、別ウィンドウが開くので便利かと思います。各マーキングのNo.は以下の写真に対応しています。

(※No.はMAPに対応しています。またいずれの写真も拡大してご覧になれます)
No.01 中央通りから高架を臨む(2011/06/25撮影)


No.02 ラジオ会館(2011/06/25撮影)
中央の電柱がちょっと邪魔ですね。



MS-ICEで強引に結合してみました。

めっちゃ歪みました。すみません(笑)。


この旧ラジオ会館は6月末日をもって営業を終了し、取り壊しの上で建て替えられることになっています(ビルの取り壊しは8/15~)。私がこの日、東京に来た一番大きな目的が旧ラジオ会館内の撮影だったのですが、もう少し早い時期に来ておけば良かったと後悔しました。6/25の取材時点で既に大半の店舗が仮店舗へ移設しており、内部は廃墟になる直前の閑散としてどこか物寂しい空気に満たされていて、往時の活気を感じ取ることは残念ながら出来ませんでした。


土曜日の開店直後という時間帯にもかかわらず訪れる人はまばらで、その分、気ままに館内を散策できた訳ですが、ふとエスカレーター脇の自動販売機にドクターぺッパーが売られているのを発見して、すかさず購入。ベンチで休憩しながら喉を潤しました。関西ではドクターペッパーは販売されていないので、その名を耳にすることはあっても飲むのは今回が初めてです。


廃墟寸前のラジオ会館の中で飲むドクターペッパー。その光景自体がなんともシュタゲ的で「あと数ヶ月もすれば、この場所はこの世から消滅するんだな」と少しばかり感傷に浸りながらその味を楽しみました。本当に知的飲料なのかどうかは知りませんが、私にはオロナミンCにコーラと甘味料を混ぜたような味に思えました。後に杏仁豆腐の汁にコーラをぶち込んだ味と評しているのを見て膝を打ちました。

取り壊し前の旧ラジオ会館内で飲むドクターペッパー



↓7階から上は写真のように閉鎖されており、キャプ通りの撮影は既に出来ない状態でした。


キャプの中央には、まゆりが「メタルうーぱー」を引き当てた*2ガチャガチャが描き込まれていますが、これと同型の機種は別の階にまだありました。訪れる人も殆どいない廊下の片隅に打ち捨てられたように並ぶガチャガチャの群れは、主を喪った番犬のようで幾分物悲しそうに見えました。



No.03 ラジオセンター(2011/06/25撮影)

先程の旧ラジオ会館と違って、昭和時代の濃厚な活気が今もむんむん漂う高架下のラジオセンター。ラジ館側とダイビル側との連絡通路になっていることもあって、ここは行き交う人の数がいつまでたっても絶えません。ぶらりと眺めて回るだけでも大層楽しい。ただの電気パーツもこうして大量に売られていると何やら現代アートめいて見えてくるから面白いものです。

2階には昔懐かしBCLの短波放送受信機なども売っていて、眺めているだけで欲しくなってきてしまうのでここは自重。どうやら昭和時代に10代を送った私などには、電気街としての秋葉原の方が性に合っているのかもしれません。

この古びたアーケード!いいなあ。


No.04 秋葉原クロスフィールド陸橋(北向き)(2011/06/25撮影)


No.05 秋葉原クロスフィールド陸橋(西向き)(2011/06/25撮影)


No.06 UDXからダイビル方面(2011/06/25撮影)

UDXダイビルとの関連で面白い事実を発見しました。以下の写真をご覧下さい。

これはアニメ版に登場しないカットなので少し説明します。
原作(ゲーム版)では、岡部とダルの2人がラボからATF*3のセミナーへ向かうために、UPX(UDX)と大ビル(ダイビル)を繋ぐ陸橋(No.4,5の陸橋)を渡って、「大ビルの中に入ってエレベーターに乗り、5階にあるATFの会場に向かう」という場面があります(両ビルの位置関係はこちらの地図を参照のこと)。このセミナー会場で、岡部は死んだはずの牧瀬紅莉栖と出会うことになるのですが、そのエレベーター内のカットが上掲左側のキャプです。そして右側の写真はと言えば、実はこれはダイビルのものではなく、UDXのビル内のエレベーターなのです。


当初、ストーリーの展開通りにダイビル内のエレベーターを調査していたのですが、どれも合致するものがなく諦めかけていたところに、ふとキャプに描かれているRUPの3文字に閃くものがあり、UDXのエレベーターに乗り込んでみたところ、これがビンゴでした。各階表示の文字との類似性から見てこちらで間違いなさそうです。


No.07 ダイビル裏のコインロッカー(2011/06/25撮影)


物語で重要な役回りを果たすコンピュータ「IBN5100」が保管されていたコインロッカー。右下のロッカーがそれなのですが・・・。

使用中でした。怪しい(笑)。


No.08 秋葉原中央通り(2011/06/25撮影)

時間帯は良かったはず。中央通りでこれだけ閑散としているタイミングは滅多にない。とは言え、左折車両が背後からガンガンやって来る場所で危険極まりないことに変わりはなく、交通法規遵守の範囲内で撮影できる写真はこれが限界でした。おまけに私の手持ちの24mm広角レンズではキャプの「あおり」を再現することは出来ず、更によく見るともっと前方から撮らないといけなかったことに今更ながら気づきました。いずれリベンジしようと思います。
写真の右側の「真心」看板は、撮影日の直前(関東では6/23)に最終回を迎えたばかりのアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のBD&DVDリリースの広告看板です。


※2011/08/13リベンジしました。


No.09 ドンキホーテ(2011/06/25撮影)

キャプの左側に描かれている特徴的なINの↓が、今は写真のように隠されてしまっています。これがこの先もこのままであるか否かは知る由もありませんが、No.07のコインロッカーのカットといい、同じ板野友美で泣かされる羽目になるとは…。
またNo.08とは逆で写真の方が「あおり」気味です。


※2011/08/13リベンジしました。


No.10 カフェテラス(2011/06/25撮影)


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【舞台探訪・聖地巡礼の心得】
舞台として描かれる場所は一般市民の生活空間であることが多いため、現地訪問に当たっては、以下の各項目にくれぐれもご留意下さい。マナーと心配りをお忘れなく!


1.近隣住民の方々の迷惑となるような行動は慎むこと。
2.プライバシーの侵害となるような行為はしないこと。
3.学校や個人宅に無断で侵入しないこと。
4.撮影時の道路への飛び出しなど危険な行為はしないこと。
5.撮影が許可されていない場所の撮影はしないこと。迷った場合は関係者に撮影可否の判断を求めること。

*1:ただしTrue Endに至るには、それまでに必要な全てのフラグを立てておかなければなりません。私は途中から攻略サイトを参考にプレイしたのですが、それでも3回ほど別ルートでエンディングを迎えてしまって、その都度、セーブポイントからやり直し、4回目にしてようやくゴールしました。

*2:ネタバレになるので詳細は書きませんが、アニメ版のみ視聴されている方は、今の内にもう一度、第1話のこの辺りのシーンをじっくり見返しておくことを強くお薦めします!

*3:シュタゲ(ゲーム版)の用語解説によれば以下の通りです。【ATF:(架空)アキハバラ・テクノ・フォーラムの略。秋葉原にある大ビル内にて、複数の大学や研究施設が連携し、特別なセミナーやシンポジウムが不定期に行われている】