【注意!】当記事では原作の内容の詳細について触れることになります。原作未読の方でネタばれを避けたい方はここから先へは進まないでください。
大今良時さんの漫画『聲の形』の舞台探訪の記事、最終巻となる第7巻の紹介です。
→前回までの記事はこちらです。
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第1巻
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第2巻
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第3巻
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第4巻
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第5巻
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第6巻
■第7巻について
硝子の慟哭に呼び覚まされるかのように長い眠りから目を覚ました将也。そして彼もまた導かれるようにあの橋へ・・・。『聲の形』全編のクライマックスです。
物語は佳境を迎え、やがて将也と硝子、そして仲間たちの進路と卒業、翌年の成人式の場面で終幕となります。
■舞台探訪 『聲の形』(原作):第7巻
※各シーンの場所情報はGoogle Mapにまとめてあります。各々の場所を確認されたい方は、当記事末尾に掲載しているMAPを拡大してご覧下さい。
■表紙絵
第2巻の解説でも書きましたが、『聲の形』の表紙絵は各巻を象徴する場所を背景として左側に将也、右側に硝子の立ち姿が描かれ*1、二人の他には誰も描かれていません。
そして第7巻の裏表紙で初めて、結絃、永束、植野、佐原、川井、真柴たちの姿が描かれることになります。「みんなのことをもっと知りたい」と将也の意識に変化が訪れたことを物語る印象的なカットです。
扉絵
養老鉄道車内
これは養老鉄道の車両内です。将也と硝子が養老公園へ遊びに行った日の光景でないことは、二人の衣服を見れば一目でわかります。
それにしてもこのイラストの静かな迫力には目を見張ります。まるでこの世ならざる場所への逃避行のようです。お互いの姿が見えていないかのように決して視線を交えることのない将也と硝子。こんなにも似ているのに、こんなにも近くにいるのに、見ている視線の方向はバラバラで、手を伸ばせば触れることもできる距離にいるのに虚脱したように無関心な様子は、お互いの心が大きくすれ違ってしまったあの日の心象風景なのかもしれません。真っ白に漂白された二人の姿は幽界の住人であるかのようです。
(上)表紙絵の左上に描かれている換気扇も実際にありました。
P.14 1コマ目
美登鯉橋 MAP 03
■将也と硝子の手話
ここからしばらくは二人の手話での会話が続きます。部分的には将也が言葉で語ってくれていますが、大半は説明抜きで物語が進行していることと、将也の言葉と手話に微妙な違いのある箇所があることから、少し長くなりますがこのクライマックスの一連のシーンを解説いたします。
P.24の2-3コマ目
「(親指と人差し指で眉間をつまむようにして、頭を下げながら指を伸ばして手のひらを前へ出す)ごめんなさい」(※眉間をつまむ仕種は髪が覆いかぶさっていてややわかりにくいです)
→(意訳) 硝子「ごめんなさい」
P.25の1コマ目
「(片手を握って胸に置く)命」(※普通は利き腕である右手の拳を心臓に当てますが、硝子は右腕を負傷(脱臼?)しているので、左手の拳を胸に当てています)
→(意訳) 硝子「私の命を」
P.25の2コマ目
「(右手の手のひらで左手の甲を2回くらい叩く)助けられる」(※本来は親指を立てた左手の甲を右の手のひらで叩くのですが、このカットでは親指が立っていないので、これが正しい解釈なのかどうか自信はありません)
→(意訳) 硝子「救ってくれて」
P.25の5コマ目
「(両手を開いて上向きにした手のひらを胸の前で下に降ろす)安心」
→(意訳) 将也「よかった、安心したよ」
P.27の1コマ目
「(親指と人差し指で眉間をつまむようにして、頭を下げながら指を伸ばして右手を少し前へ出す)ごめんなさい」(※P.24のP2-3コマ目と同じですが、こちらのカットは右手を前に出す仕種がカットされています。基本的にP.24の硝子と同じ"言葉"を返しています)
→(意訳) 将也「ごめんなさい」
P.28の1-2コマ目
「(人差し指を伸ばした右手を左の手のひらの上から下へくぐらせて前へ出す)理由」
→(意訳) 硝子「どうして謝るの?」
P.28の3-4コマ目
「(両手の親指を前後に向き合わせて、自分に近い方の親指を相手に向かって頭を下げるように曲げる)謝罪する」「身体の中央で両方の親指から順番に小指に向かって指を折りながら、両手を左右に引き離していく(たくさん)」
→(意訳) 将也「いっぱい謝らないといけなかった」
P.30の3コマ目
「(相手を指さす)あなた」「(開いた左手の前で右の手を振り下ろす)落ちる」
→(意訳) 硝子「あなたが落ちたのは」
P.30の4コマ目
「(自分を指さす)わたし」「(人差し指を鼻の前で倒す)悪い」(※「悪い」の手話は鼻をたたき落とすという表現で、基本的に右手の人差し指を鼻の前に持ってきて右から左へ倒す動きです。硝子が左手を使って左から右へ人差し指を動かす逆の動きをしているのは、先述した理由と同じで、怪我のために右手が伸ばせないからと解釈しています)
→(意訳) 硝子「わたしのせいなの」
P.31の1コマ目
「(両手の親指と人差し指で作った輪を同時に2回つけたり離したりする)同じ」
→(意訳) 硝子「(あの頃と)同じ」
P.31の2コマ目
「(親指を下に向けるサムズダウン)最低」「(人差し指でこめかみを指す)思う」
→(意訳) 硝子「わたしは最低だと思う」
P.31の4コマ目
「(両手の親指と人差し指で輪を作って繋ぐ)関係」「(両の手のひらを向き合わせてかき回す)荒らす」
→(意訳) 硝子「わたしがみんなとの関係をめちゃめちゃにしてしまった」
P.31の5コマ目
「(手のひらを後ろに向け後方に動かす)過去」「(親指と人差し指で作った輪をつけたり離したりする)同じ」(※P.31の1コマ目と違ってこちらは片手のため、この解釈で良いのかどうか・・・)
→(意訳) 硝子「あの頃(小学生の頃)と私は何も変わってない」
P.31の7コマ目、P.32の1コマ目
「(左手の上に右手を重ねて甲を撫でる)大切」
→(意訳) 硝子「みんな大切なのに・・・」
ここまでの硝子の手話を踏まえると、P.35の将也の台詞「俺も・・・同じこと考えてた」の意味がひときわ明瞭になってきます。彼も橋の上で仲間との関係をめちゃめちゃにしてしまったからです。だからこそ、ここから後の彼の言葉は一層の重みを持って伝わってきます。
P.36の3コマ目
「(両手の人差し指を中央に寄せる)一緒」
→(意訳) 将也「一緒に」
P.36の5コマ目
「(左手の親指を立てて、右手の手のひらで外側から自分側に向かって二回ほどたたく)助けてもらう」(※逆に親指を立てた左手を右の手のひらで後ろから軽く二回たたくと、相手を「助ける」という意味になります)
→(意訳) 将也「手伝ってほしい」
P.37の1コマ目
「(右手の親指と小指を立て、指先は上に手の甲は相手に向け、その手を腹のあたりでくるりと円を描く)人生」
→(意訳) 将也「生きることを」
P.38の2コマ目
「(右手のひらを胸に当てて撫で下ろす)わかった」
→(意訳) 硝子「わかった」
P.39 1コマ目
美登鯉橋 MAP 03
P.64 1コマ目
駒込高等学校 MAP 70
第3巻の記事で軽く触れた通り、将也の通う東地高校のモデルは大垣市内にはありません。それどころか岐阜県内でもありません。なんと東京都の駒込高等学校です。
なぜこの場所が東地高校(少なくとも外観)のモデルに選ばれたのかは不明です。校内の描写や学園祭の場面で内部の様子も描かれていますが、これがどこまで大今さんご自身の取材に基づいているのかも分かりません*2。原作者の大今さんにとって縁の深い場所なのか、それとも単に特徴的なデザインの良さで選ばれたのか。舞台探訪的には『聲の形』最大の謎です。
※言うまでもなくここは現役の学校です。撮影に際しては、敷地内には絶対に立ち入らないこと、生徒の姿を写さないこと、必要以上に長く居留まらないこと等の充分な配慮をお願いいたします。
ではここで第3巻の記事であえて省略した「第3巻P.10、71、114、116」の各カットの写真を掲載しておきます。なぜあえて高校のカットを第7巻に集約したかというと、『聲の形』各巻を象徴する表紙絵として高校が描かれているのが第7巻であることと、物語の始まりである第1巻(小学校)と終幕を迎える最終巻の第7巻(高校)の「表紙絵」が、デザイン的にも内容的にも綺麗に対を成したシンメトリーな構造になっているからという個人的なこだわりによるものです。他意はありません。
【第3巻】 P.10 1コマ目、P71 1コマ目
駒込高等学校 MAP 70
ほとんど同じアングルのよく似たカットです。素材となった元の写真が同じなのかもしれません。
(左)『聲の形』第3巻P.10より。
(右)『聲の形』第3巻P.71より。
原作では丸窓を三角窓に変えるなどの改変が行われています。
【第3巻】 P.114 5コマ目
駒込高等学校 MAP 70
校門前です。撮影時の日差しが強烈だったため、白飛びしてしまっています。ご容赦ください。原作カットに描かれている送迎バス(?)は同じ場所にありました。
露出アンダー気味に撮った別の写真も掲載しておきます。上の写真のベンチを通り過ぎた辺りで撮影したのでアングルはかなり異なりますが、原作カット右側に描かれている街灯と幟(のぼり)がこちらの写真でははっきり見えますね。
なお、原作カット右上の四角いプレート状のものが何なのかよく分からなかったのですが、これは消火栓の標識に掲示されている東京消防庁救急相談センターの電話番号#7119の広告であることが、現地へ行って初めてわかりました。
【第3巻】 P.116 5コマ目
駒込高等学校 MAP 70
校門前から西向きです。
さてここからは第7巻に戻ります。
表紙絵に描かれている渡り廊下、それと裏表紙に描かれている時計塔とその奥に見える構造物も、正門から遠目にそれと思われるものが視認できました。表紙の絵は校内から外(南)向き、裏側の絵は同じ位置から内(北)向きです。従って第7巻の表紙絵の将也と硝子は校門から中に入って渡り廊下をくぐった辺りに立っていることになり、やはり原作者の大今さんが校内で正式に取材を行っているのは間違いないようです。
また文化祭開催中の学校に入る直前、将也と硝子が待ち合わせた場所も高校のすぐそばです。というか校門のほぼ真向かいです(P.61の硝子のメールでも明らかです)。
P.63 1コマ目
駒込高等学校前 MAP 71
■耳を出す硝子
上掲のカットが掲載されている第56話「登校」以降、硝子は両耳を髪から外に出すようになります。第3巻でポニーテールにした時も同様ですが、これは周りの音を聴きたい、相手(将也)の声を聴きたいという意志の表れと見るべきでしょう。これは物語の最後まで続きます。
P.99 6コマ目
県道18号線神田町の陸橋 MAP 72
自主映画の公開選考会へ行く途中、彼らは県道18号線の神田町の交差点にかかる陸橋を渡っています。そこから選考会場である大垣市文化会館までは徒歩7分程度。
P.99 7コマ目
大垣市文化会館 MAP 73
P.105 1コマ目
大垣市文化会館 MAP 73
文化会館1階ロビーのスイトピアセンター事務室前にある階段です。
P.106 1コマ目
大垣市文化会館 MAP 73
上のカットのちょうど真向かい。スイトピアセンター事務室横の辺りです。若干全体に横幅を圧縮気味に描かれています。
3人の背後に掲げられているのは、「大垣市民の誓い」。拡大して掲載しておきます。
■硝子と結絃と将也の手話
P.106の1コマ目。上に掲載したカットの3人の手話です。
硝子「(※わかりませんでした。どなたかご教示ください・・・)」
→(意訳)硝子「」
結絃「(左手の甲を右手の親指と人差し指でつねる)厳しい」
→(意訳)結絃「厳しく評価された」
将也「(腹に両手の10本の指を当てて、上へ向けてパッと広げる)怒る」
→(意訳)将也「腹が立つ!」
P.108 4コマ目
大垣市文化会館 MAP 73
1階ロビーの奥。
P.109 5コマ目
大垣市文化会館 MAP 73
エレベーター前。
将也の背後に見える貼り紙のようなものは現地に実際にありました。抽選会予定表とあります。
P.109 6コマ目
大垣市文化会館 MAP 73
表玄関の自動ドアです。
P.111 5コマ目
大垣市文化会館 MAP 73
階段の上から。
P.116 2コマ目
大垣市文化会館 MAP 73
ファッションショーが行われた場所も実は公開選考会と同じ大垣市文化会館です。私が訪問した平成28年7月30日の午後はちょうど大正琴の発表会があり、取材の休憩がてらしばし聴かせていただいた後、催し物のない日は入れないホール2階と階段周辺を撮影させていただきました(ホール内は撮影禁止)。こちらは螺旋階段を上がったホール2階の入り口付近。
天井のライトもP.117の1コマ目にほぼそのままの形で描かれています。
P.119 4コマ目
大垣市文化会館 MAP 73
1階へ降りる螺旋階段。
■硝子の手話
P.125の2コマ目。
「(左の手のひらを右の手の甲で軽く2回たたく)求める」
→(意訳)「なりたい」
P.125の3コマ目。
「(両手の指2本をハサミの形にして右手で左手を2回こする)理容師」
→(意訳)「理容師に」
P.128の3コマ目。
「(両手の親指と人差し指で輪を作ってつなぎ合わせて前へ出す)だから」「(右手の4本の指を曲げて、こめかみに当てて前後に動かす)困る」
→(意訳)「だから困ってるの!」
P.154 1コマ目
大垣公園 MAP 11
公園内にある円形の遊具。第2巻で結絃が空腹で倒れていた空中回廊から見てちょうど正反対の辺り(南側)です。
P.154 2コマ目
大垣公園 MAP 11
遊具から見て南側の東屋です。
P.154 7コマ目
大垣公園 MAP 11
東屋から少し離れたところにある噴水です。原作のカットでは天使像の右手の辺りから水が噴き出ているのですが・・・
故障していたのか、水は出ていませんでした。
P.156 5コマ目
大垣公園 MAP 11
原作カットに描かれているキノコみたいな物体は飛び石状の踏み台です。
P.157 3コマ目
大垣公園 MAP 11
P.159 1コマ目
大垣公園 MAP 11
■硝子の手話
P.163の3コマ目。
「(両手の人差し指を内側に向けて寄せる)一緒」
→(意訳)「一緒に」
P.163の4コマ目。
「(両手のこぶしを握って胸元で二、三度上下させる)頑張る」
→(意訳)「頑張ろうね!」
P.166 5コマ目
大垣フォーラムホテル MAP 74
成人式の会場は、実際に大垣市で成人式が開催される大垣フォーラムホテルです。
ホテルの壁面や窓はかなり原作のカットと違いますが、画面左端にあるファミリーマートの壁に備え付けられた照明や窓などの細かい部分は逆に正確に描かれており、全体的にアンバランスです。ホテルの壁の逆三角形の模様(通気口?)は、以下の写真のように位置は違いますが同じものがあります。
■ニチニチソウ
第2巻、第3巻の記事内で解説したニチニチソウ。硝子という存在を象徴するこの花は、『聲の形』の最終話*3において硝子の髪飾りとなって再び登場します。ニチニチソウの花言葉が「楽しい思い出、生涯の友情」であることを、再度思い起こしておきましょう。
(上)硝子の髪飾りはニチニチソウ。楽しい思い出、生涯の友情。
■扉の向こうへ
『聲の形』が学校物のドラマや漫画にありがちな卒業式ではなく成人式をラストシーンに描いているのは、これが小学校時代に端を発するドラマであって高校の卒業式は物語の幕引きにならないこと、高校の卒業式では学校の違う将也と硝子のドラマになりえないことなどの理由が考えられますが、やはりもうひとつの意図は、子供から大人への仲間入りをする場面こそがこの作品のラストに相応しいという判断があったからではないでしょうか。
翻って考えてみれば『聲の形』という作品は、無理解や対立の軸として、あるいは逆におおらかに自分たちを受容してくれる庇護の対象として、様々な「大人たち」との関わりがしっかり描かれていることを忘れてはなりません。この物語のあまり表面化していないもうひとつのテーマは、子供から大人への成長だと思います。そう考えると成人式がラストシーンというのは、物語の終幕として完璧な舞台設定といえるでしょう。
将也と硝子が開こうとする過去への扉は、その向こうに不安と辛い過去が待ち受けているかもしれません。けれど、そこをくぐりぬけた先には希望と無限の可能性もまた開かれているはずです。過去と向き合いそれを受容するとき、人生の扉はいつでも開くことができる。生きている限り。
第1巻の記事の劈頭に掲げた私自身の想いを最後にもう一度ここに引用して本稿の締めくくりとさせていただきます。
罪と罰、悔恨と贖い、赦しと祈り、そして再生。
過去と向き合い、その呪縛から解放されるとき、人は変わることができる。
可能性のある未来と生きる希望を掴むことができる。
それが『聲の形』という作品の主題なのです。
■終わりに代えて
私自身にとって初の試みとなったページ順に漫画原作を丹念に追っていく舞台探訪記事は、コマ単位での描写の解析・考察・解説というミクロの作業と、舞台背景を切り口に作品内世界のパースペクティブを探るというマクロの視点の双方を重ね合わせたいささか奇妙なアマルガムのような産物となりました。加えて台詞で補足されていない「手話」に素人解説を加えるという無謀な試みまで始めたため、もはや舞台探訪の記事なのか何なのか得体の知れないものになってしまいました。
それらはどれも私にはいささか荷が重い作業で、爪で石に文字を刻むような遅々とした歩みではありましたが、曲がりなりにも全7巻分の記事を仕上げることができて、ようやく長い間の借りを返したような気分です。達成感というよりは安堵の方が強いです。もっと細かなコマ単位での解説、些細な舞台背景の取材も時間をかければ出来たのでしょうが、これが今の私の精一杯です。
さて、明後日9月17日(土)から、いよいよ山田尚子監督の映画『聲の形』の公開が始まります*4。映画化に当たって、山田尚子監督が全7巻ある原作の最初から最後までを(2時間を越える尺があるとはいえ)忠実に映画化したとは思っていません。恐らく限られた時間の中で一本の映画としての求心力を高めるために、原作に大きく手を加えて、要(かなめ)となる軸でもって物語全体を再構成している可能性は高いと思っています*5。しかしそうであればあるほど、山田尚子監督が『聲の形』の映画化に際して目指そうとした表現の核が何であり、そのためにどのようなアプローチをしたのかが明確に浮かび上がってくるわけで、目下の私の関心は、舞台背景の取り上げ方も含めて原作と映画との相違点を見出すことにあります。
というわけで、大今良時さんの漫画『聲の形』の舞台探訪+αの記事はこれで完結ですが、本稿は更に山田尚子監督の映画『聲の形』の記事へと続きます。
(了)
【リンク先】
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第1巻
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第2巻
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第3巻
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第4巻
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第5巻
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第6巻
・【舞台探訪】『聲の形』(原作):第7巻
当記事に掲載した『聲の形』、および映画『聲の形』の画像および台詞は、著作権法第32条に定める研究その他の目的として行われる引用であり、著作権は全て、大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会に帰属します。
(2016/9/15 記)